転職活動の中で、初めて応募先企業と接点を持つものが履歴書や職務経歴書をはじめとした応募書類になります。
そのため、履歴書や職務経歴書の出来によって書類選考で落とされるだけでなく、その後の面接にも大きな影響を与えることになります。
履歴書や職務経歴書は企業へ応募するまでの時間を利用してしっかりと対策をすることが出来るため、応募先の企業に「この人と一緒に働きたい」と思わせる書類を作成していくようにしましょう。
履歴書、職務経歴書の役割
履歴書や職務経歴書を作成する前に、それぞれの書類の役割を理解しておくことが大切になります。
それぞれの応募書類の役割を理解した上で書類を作成することで、企業が求めている履歴書や職務経歴書を作成することができます。
下の表は履歴書と職務経歴書の、それぞれの主な記載事項になります。
主な記載事項 |
履歴書 |
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職務経歴書 |
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この記載事項から、応募先企業がそれぞれの応募書類から次のことを知りたいことが分かります。
企業が知りたいこと |
履歴書 |
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職務経歴書 |
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企業は履歴書から転職者の基本情報を知り、職務経歴書を元に採用判断をしていることが分かります。
そのため新卒者とは違い、今までの経歴が問われることになる転職者は、職務経歴書により力を入れて対策をすることが大切になります。
履歴書の作成はどちらがおすすめ?手書き?パソコン?
履歴書と職務経歴書の役割を知り、書類の作成を始めようとした時に、多くの人が悩むことがあります。
職務経歴書はパソコンで作成することが一般的になっていますが、履歴書は手書きとパソコンのどちらがいいのでしょうか?
「違いはない」「どちらとも言えない」61%
採用担当者へのアンケートで、手書きとパソコンのどちらの履歴書を評価するのかという質問に対して、半数の51%の採用担当者が「違いはない」と回答しています。
「どちらとも言えない」と回答した10%を合わせると、6割の採用担当者が手書き・パソコンによる作成方法の違いで評価は変わらないと回答していることになります。
現在も多くの会社で手書きの履歴書を受け付けていますが、手書きを評価する採用担当者は約3割に止まり、逆にパソコンでの作成を評価する採用担当者も10%いました。
手書き・パソコンの作成をそれぞれ評価する理由として、次のような声があります。
「手書での作成を評価」
- 字そのものをきれいに正確にかけるかの確認をしているから
- 文字には人となりが表れやすく、上手・下手ではなく丁寧に書かれているかどうかで、その人自身を判断する材料となり得るためです。ただし内容に関しては、パソコンで作成されることが多い職務経歴書を重視しています
- 手書きの方が慣習的に印象が良い
「リクナビネクストHP」より
「パソコンでの作成を評価」
- 文書が読みやすい
- パソコンスキルと作成能力を見ています
- PCで作成は常識。現代は、なにごともパソコンを使用する時代になっています
「リクナビネクストHP」より
どちらの意見も納得できる意見で、作成方法による大きな違いはないようです。
下の「どちらとも言えない」と回答した採用担当者の声を見ても分かるように、どちらにも良い点・悪い点があるため、作成方法にはあまりこだわらず、作成内容に力を入れた方が良いことは間違いありません。
「どちらとも言えない」
- 手書きは筆跡の綺麗さ丁寧さも判断できるし、PCで作成したものは、きっちりしたスキルがある感じがするので、一長一短
- 字の上手さや、書き方のバランスによってはプラスにもマイナスにもなる
- 業務についての専門知識等を重視するから
「リクナビネクストHP」より
履歴書の作成方法
まずは応募書類のうち、履歴書の作成方法から確認していきますが、履歴書は次の3つのパートに分けることができます。
パート1
1.日付 | 日付は履歴書を提出する日(投函日)を記入 |
2.氏名 | ふりがなも忘れずに記入 |
3.生年月日 | 履歴書を提出する時点の年齢を記入 |
4.現住所 | 連絡先は現住所と違う場合のみ記入 |
5.写真 | 3ヶ月以内に撮影した写真を使用。写真を最初に貼ってしまい途中で記入ミスがあると泣きたくなるので、全ての記入が終わった後に写真を貼る |
6.電話番号 | 日中も電話に出やすい、携帯電話の番号を記入 |
パート2
7.学歴 | 1行目に「学歴」を書き忘れずに記入。「高校」のように省略せず「高等学校」と正式名称を記入 |
8.職歴 | 学歴と同様、(株)のように省略せず「株式会社」と正式名称を記入。最後に「以上」を書き忘れないように注意 |
パート3
9.免許・資格 | 取得済みの資格だけでなく、現在資格取得に向けて勉強中のことも記入する |
10.志望動機 | ☆ |
11.通勤時間 | 通勤時間がかかる場合(2時間以上)、採用時に通勤時間が問題になる事もあるので、具体的な通勤方法を伝えられるようにしておく(引越す予定の人はその旨を記入して熱意をアピール) |
12.扶養家族、配偶者、配偶者の扶養義務 | 家族手当のような待遇面や入社後の年末調整など、入社前後に利用する大切な情報となるので、正確に記入 |
13.希望記入欄 | 希望部署や希望支店など、希望があれば記入。細かい条件面などの記入は避け、面接時に相談する方がスムーズに交渉が進むことも多い |
☆履歴書の志望動機について
志望動機は数ある企業の中から、なぜこの企業を選んだのかを伝える大切な箇所になります。
多くの採用担当者も、応募書類ので中で志望動機や志望理由を重要視していることが分かります。
志望動機は人それぞれ異なりますが、志望動機の書き方に迷った時は、自分の志望理由や職種を参考にしながら、自分の志望動機をまとめてみて下さい。
志望動機を書く時に参考になるサイトをまとめましたので、志望動機を書く時の参考にして下さい。
職務経歴書の作成方法
履歴書に引き続き、もう1つの応募書類となる「職務経歴書」の作成方法を確認していきます。
「履歴書、職務経歴書の役割」でも確認したように、職務経歴書は書類選考時の選考材料になることはもちろん、面接の時にも職務経歴書をベースに面接が行なわれることになります。
そのため、職務経歴書の出来が転職の成否に関わる面接にも影響してくることから、採用側の企業が求めていることに応えた職務経歴書を作成することで、転職成功に向けて大きく前進することができます。
職務経歴書は特に決まったフォーマットがないため、どのように作成すればいいのか迷ってしまう人もいますが、書くべきパートは次の5つに分けることができます。
- 記入年月日
- 職務経歴の略歴
- 職務経歴
- 資格・免許
- 自己PR・志望動機
パート1:記入年月日
書類を作成した日付を記載します。
職務経歴書の作成できる箇所は事前に作成しておき、提出を求められた時には速やかに提出できるようにしておくことが大切です。
パート2:職務経歴の略歴
自分の今までの職務経歴を3〜4行程度にまとめます。
採用担当者がこのパートを読んだ時に、応募者が何をやっていた人なのかが分かるように作成することがポイントになります。
パート3:職務経歴
経験した職歴を時系列に記載します。
一般的には上から古い順に書いていきますが、複数回の転職がある人は上から新しい順に書くことで、直近の仕事が目につきやすいメリットもあります。
書く順番に決まりはないので、自分の転職回数や前職と転職先の職種の関係など、採用担当者にアピールしやすい順番で書いて下さい。
職務経歴を書く時はそれぞれの職種で経験した仕事内容を分かりやすく書き、各職種がはっきりと分かるように番号や枠をつけて読みやすくすることも大切です。
パート4:資格・免許
取得した資格や免許を時系列に記載します。
転職先の職種と関係のある資格を勉強中の人は、このパートに書いておくことで採用担当者にアピールすることもできます。
(例)日商簿記検定1級:20〇〇年〇〇月の試験に向けて勉強中
どの資格や免許も取得年月を忘れずに記載する。
パート5:自己PR・志望動機
自己PRでは自分の強みや得意分野を転職先に売り込むことなりますが、採用する企業側は中途採用の転職者に対して、新卒者とは違い、ある程度即戦力としての働きを求めることが多くなります。
このポイントを踏まえて、自己PRを書く時には、自分の強みや専門性を生かして、転職後にどのような貢献ができるのかを記載することで、採用担当者に「採用したい人物」と思われることになります。
どうしても自分のアピールできるポイントが見つからない人は自己PR書く時に参考になるサイトをまとめましたので、自己PRを書く時の参考にして下さい。
また、志望動機では数ある会社の中からその会社を選んだ理由を書くことになりますが、先ほど履歴書のパートで紹介した記事を参考にしながら、自分の思いが伝わる志望動機を書いてい下さい。
履歴書・職務経歴書を作成する時の注意点
履歴書と職務経歴書のそれぞれの作成方法について紹介してきましたが、どちらの書類を作成する時も共通して注意する点があります。
丁寧に作成する
どんなにいい内容の履歴書や職務経歴書を作成しても、誤字や脱字があることで、書類を受け取った側の採用担当者の印象は大きく変わることになります。
下のグラフは採用担当者に履歴書や職務経歴書の誤字・脱字が選考結果に影響を与えるかを聞いたアンケート結果ですが、7割の採用担当者が誤字・脱字が選考結果に影響があると回答しています。
履歴書・職務経歴書の”誤字脱字”は選考結果に影響を与えますか?
転職者にとっては少し怖いデータですが、応募書類を受け取る採用担当者の立場から考えると、誤字や脱字のない丁寧に作られた書類に良い印象を持つことも自然なことです。
この誤字・脱字は履歴書や職務経歴書を作成するテクニックでも何でもなく、それ以前の「どんな気持ちで応募書類を作成しているか」という問題になります。
何としても入社したい企業へ提出する応募書類は、自然と丁寧なに作成することになり、誤字や脱字も無くなります。
応募企業の数が増えることで、応募する度に履歴書や職務経歴書を作成することが面倒くさく感じる人も少なくありませんが、応募書類の誤字・脱字が採用結果に何らかの影響があることを考えると、応募書類を作成する時の意識も変えることができます。
一度書いた書類を見直すことはもちろん、時間がある時は翌日にもう一度確認してみるなど、少し時間をおいてから再確認することで、書類の誤字や脱字を無くすことができます。
面接の時に質問されることを意識して作成する
先ほども少し触れましたが、応募書類は書類選考に使われるだけでなく、面接の時にも応募書類を元に面接が進められることになります。
そのため、履歴書や職務経歴書を作成する時は、面接で聞かれることを意識しながら書類を作成することで、自然と面接対策もすることもできます。
- この書類を見て面接官からどんなことを聞かれるんだろう?
- 違う職種を経験しているから、転職理由について聞かれるかな?
- もう少し細かく仕事内容を書いた方が分かりやすいかな?
面接で聞かれることを意識しながら応募書類を作成することで、自然と面接官の立場に立って応募書類を作成することになり、自分の主観だけではない、採用者側が知りたい内容に沿った良い応募書類も作成できるようになります。
まとめ
履歴書と職務経歴書の作成方法について紹介していましたが、いかがでしたでしょうか?
それぞれの応募書類の役割やポイントを踏まえながら書類作成をしていくことで、「一緒に働きたい人物」と思われる良い書類を作成することができます。
応募書類を通して、あなたの良さが応募先企業に伝わることを願っています。