働き方が多様化した現在では、自分のライフスタイルに合わせた働き方ができる「派遣社員」として働く人が増えています。
多くの人に認知された「派遣社員」ですが、派遣社員と正社員の違いや残業の扱いなど、派遣社員の実態を完全に理解している人は多くありません。
この記事では、派遣社員のシステムから派遣社員になるメリットとデメリット、派遣社員になる方法など、派遣社員のイロハについて紹介しています。
これから派遣社員として働くことを考えている人は、ぜひこの記事を読んでみて下さい。
そもそも派遣社員とは?
日本の派遣社員は1986年の「労働者派遣法」の施行によって始まり、2017年時点で129万人もの人が派遣社員として働いています。
派遣社員には大きく分けて次の3種類があり、それぞれの特徴は次のようになります。
- 有期雇用派遣
- 無期雇用派遣
- 紹介予定派遣
有期雇用派遣
有期雇用派遣は多くの人がイメージしている派遣社員で、派遣社員として働いている人の多くが有期雇用派遣となります。
人材派遣会社と雇用契約を結んだ派遣スタッフが派遣先の企業で働くスタイルで、派遣先の企業で働く間だけ契約が結ばれる雇用形態となります。
そのため、派遣スタッフと実際に働く企業との間に雇用関係はなく、給料の支払いから社会保険、年次有給休暇の付与なども、全て人材派遣会社から受ける形となります。
また、契約も派遣期間の間に限られるため、派遣期間の終了と同時に派遣会社との雇用契約も解消されるため「派遣期間終了=給料支払終了」となります。
無期雇用派遣
あらかじめ人材派遣会社と契約期間が決められている有期雇用派遣に対して、無期雇用派遣では雇用期間を定めず(無期限)に、人材派遣会社と契約を結ぶことになります。
つまり、人材会社の社員として雇用された状態で派遣先の企業で働くことになります。
そのため、登録型派遣のように雇用契約が終わることで収入が途絶えることもなく、たとえ派遣先の仕事が終了した時も、人材会社に雇用を保証してもらうことができます。
紹介予定派遣
人材派遣会社との雇用契約を前提にした有機・無期雇用派遣に対して、紹介予定派遣は派遣先企業に直接雇用してもらうことを前提とした派遣社員となります。
一定期間(最長6ヶ月)派遣社員として働いた後に、派遣社員と企業側の同意によって、正社員として企業に直接雇用してもらうことができます。
紹介予定派遣は派遣社員と企業側にそれぞれメリットがあり、現在は紹介予定派遣を利用する人が増えてきています。
紹介予定派遣のメリット | |
派遣社員のメリット |
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企業のメリット |
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派遣社員と企業にとってメリットの多い紹介予定派遣ですが、企業のメリットに書いたように、紹介予定派遣では有機・無期雇用派遣では行われない採用面接が行われることになります。
そのため、派遣社員は面接を経て企業に採用されることになるため、有機・無期雇用派遣に比べて就業するハードルが高くなるデメリットがあります。
派遣社員と正社員の違い(メリット・デメリット)
派遣社員には大きく分けて3種類あることを見てきましたが、派遣社員と正社員の主な違いは次のようなものがあります。
正社員と派遣社員の違い | ||
正社員 | 派遣社員 | |
雇用先 |
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給料 |
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福利厚生 |
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仕事内容 |
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派遣社員と正社員の違いから、それぞれのメリットとデメリットには、次のようなものがあります。
派遣社員のメリット
1.転職前に仕事の詳細が分かる
派遣社員は転職する前に、転職先企業の仕事内容について詳しく知ることができるメリットがあります。
正社員も転職前に仕事内容の詳細を知ることができますが、多くの情報は転職先企業から直接知る情報となるため、転職前後でギャップを感じる人も少なくありません。
一方、派遣社員は企業とは一定の距離を置いた「第三者の派遣会社」から客観的な情報を教えてもらうことができるため、転職前後のギャップを小さくすることができます。
2.自分に合わせた働き方ができる
派遣社員は正社員に比べて柔軟な働き方ができるメリットがあります。
正社員として働く場合、社員はフルタイムで働くことを求められるだけでなく、場合によっては遠隔地への転勤など、就業時間や就業場所を大きく制限されることになります。
一方、派遣社員は勤務地はもちろん、勤務時間や勤務したい期間など、自分が希望する条件で働くことができます。
そのため、出産後も正社員のような業務をしたいが短時間勤務勤を希望する女性や、プライベートの時間を最優先にしたい男性など、自分の状況に合わせた働き方をすることができます。
3.就業しやすい
派遣社員は正社員のような採用面接がなく(紹介予定派遣を除く)、自分が働きたい仕事に就業しやすいメリットがあります。
正社員を採用する場合、企業は一度雇用した社員を労働基準法の解雇制限から簡単に解雇することができず、採用する時には大きなリスクが伴います。
一方、派遣社員を採用する場合、企業は派遣社員を直接雇用する必要がなく、採用した社員が思っていた社員と違う時も契約期間の終了と同時に採用リスクもなくなるため、気軽に派遣社員を採用することができます。
そのため、派遣社員には正社員として働くことが難しい大手企業で働けるチャンスを得ることができるなど、自分が希望する仕事に就業しやすいメリットがあります。
4.問題があった時に対応してもらえる
派遣社員は、何かあった時に対応してもらいやすいメリットがあります。
正社員は一度就業すると、就業先企業の社内規定や社風の中で働くことになります。
そのため、サービス残業が日常的に行なわれている企業では自分だけ定時に帰ることも難しく、やりたくないサービス残業も我慢しながらすることになります。
一方、派遣社員は雇用主が派遣会社となるため、就業先で何か問題があった時は第三者の立場である派遣会社に相談することができ、スムーズに問題を解決することができます。
派遣社員のデメリット
1.雇用が不安定
派遣社員は正社員に比べて、雇用が不安定になるデメリットがあります。
契約期間ごとに雇用関係を結ぶ派遣社員は、一度雇用されると生涯にわたり雇用関係が続く正社員に比べて雇用状態が不安定になります。
特に、有期雇用派遣は契約期間の終了と同時に派遣会社からの給料も止まるため、雇用がより不安定な状態になります。
2.収入が不安定
雇用が不安定な派遣社員は、経済面でも不安定になるデメリットがあります。
契約が終了した時に給料の支払いが止まる(有期雇用派遣)デメリットに加えて、派遣社員は基本的に時給換算となるため、祝祭日が多い月は給料も減ることになります。
また、交通費が自己負担であることも多く、ボーナスや退職金がない場合がほとんどです。
そのため、正社員と同じ仕事をしていても給料面で大きな差が生まれることになり、経済面で不安定になるデメリットがあります。
3.スキルアップが難しい
派遣社員は正社員に比べてスキルアップが難しいデメリットがあります。
複数の派遣先企業で様々な仕事を経験することで、スキルアップをすることは可能です。
しかし、派遣社員は正社員に比べて計画立案などの責任ある仕事を任されることは少なく、1つの会社内でスキルアップするには限界があります。
派遣社員になる方法
今まで紹介した派遣社員の仕組みやメリット・デメリットを理解した上で、最後に派遣社員になる方法を紹介します。
派遣社員になるためには、まずは派遣会社に登録する必要がありますが、派遣会社に登録する時の主な流れは次のようになります。
派遣会社登録の流れ |
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まとめ
派遣社員のシステムから派遣社員になる方法など、派遣社員のイロハについて紹介してきましたが、いかがでしたでしょう。
不安定な雇用形態に思われている派遣社員ですが、紹介予定派遣などをうまく利用することで、正社員を前提とした働き方をすることもできます。
自由度の高い働き方や就業前に職場環境が分かることなど、派遣社員のメリットを最大限に生かしながら、自分に合った働き方を手に入れて下さい。